今日の漢字350
今日の漢字は「充」。充実、充足、充分、充電、充満、補充、充当。
テレビ東京の「出川哲朗の充電させてもらえませんか」を良く見る。
テレビ東京は、低予算であまり有名なタレントを使うことがないにもかかわらず、そこそこ視聴率を上げている。視聴者の共感を呼ぶ企画が多いが、この番組もそのひとつ。出川哲朗と番組ディレクターが、電動バイクに乗って目的地を目指すが、充電が切れたら近所の民家などで充電させてもらうという、いたってシンプルな旅バラエティー。
たまのゲストも、ワッキーや鈴木奈々など、出川のお友達のような芸人ばかりで、予算をかけていないことは明白なのだが、出川の愛すべきキャラクターと、地域の人々の交流がうまく引き出されていて、「出川初の冠番組」と銘打ってスタートしたこの番組も、なんだかんだでもう3年続いている。
この番組のいい所は、ガチで一般人の協力を得なければ番組が成り立たないが、出川のキャラクターがそれを可能にしていること。一般人と出川のふれあいがこの番組の一番の売りであり、どこへ行っても握手攻めに合う出川の、照れながらも偉ぶらず、謙虚に対応している姿がテレビでは微笑ましく映る。
彼はすなわち、 バイクを充電しなければならない、困っているところを何とか助けてあげたいという気持ちにさせる、不思議なオーラを発しているのである。
これが梅沢冨夫や有吉、ダウンタウンや千原ジュニアならこうはいかない。充電しに来た彼らに、「お前らの金と力で何とか出来るだろう」と言われるのがオチ。いつも偉そうだから助けたい気持ちにならない。
しかし出川にとっては、今まで彼が長い芸能活動のなかで培ってきた、いじられキャラ、でしゃばらない感、体を張って色々なことに挑戦して楽しませるエンターテイナー性が、今になって花開いているのだと思う。
彼の立ち位置は、応援したい芸人、守ってあげたい芸人、会うと握手したり一緒に写真を撮りたくなるような、癒し系芸人として不動の地位を築いた。嫌味もなく癖もない、何となく謙虚に映る彼の芸風は、「俺が俺が」の芸能界では異色であり、ある意味彼は他には同系列のライバルのいない、ブルーオーシャン市場にいる。強いて上げれば江頭2:50がいるが、彼は癒してはくれない。
過去には女性誌で、寝たくないタレントナンバーワンのありがたくない称号を得た出川だが、芸風を変えることなく、素直に愚直に謙虚に芸能活動をしてきたことが、今のブレイクにつながっている。
彼の行動から言える教訓は、一時期は評価が低くても、自分の信じる道を信念をもってひたすら歩けば、いつか評価される日が来るということ。そのためには、腐らず、奢らず、諦めずに素直な気持ちで物事に当たり、ブレずに自分を磨くということなのだ。
彼の芸能界での生きざまは、決して派手ではないが、人から愛されるという、ある意味多くの人が羨む道を歩いているのである。とても参考になる生き方だと思う。