笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字347

今日の漢字は「筆」。毛筆、鉛筆、万年筆、自筆、達筆、代筆、加筆、弘法も筆のあやまり、筆舌に尽かしがたい。
    笑顔漢字はいつも筆ペンで書いているが、このエッセイを始めてから3本目の筆ペン。100金の筆ペンなので、すぐインクが切れる。字もお世辞には上手いと言えず、まさに我流の笑顔漢字なので、自己満足の世界である。

   しかし何とかこの笑顔漢字を広められないかと一人画策しているが、このエッセイもそれほど読まれるわけでもなく、世界制覇にはほど遠い。


   筆の思い出といえば、習字。小学生の頃、字の下手さを矯正させようと、父は私を正月の書き初め大会に連れていった。

    今となっては何を書いたか記憶にないが、努力とか、初夢とか、そんな課題を与えられ、多くの人に混じって書き初めに参加。
   市の馬鹿デカイ体育館のフロアで、老若男女が習字をする姿は壮観なのだろうが、やっている本人(つまり私)は、やらされ感満載。何で正月早々、書き初めなんかしなければならないのか。せっかくの冬休み、家でゆっくり寝ていたい。     そんな息子の怠惰さを察し、父は私の横にピタリと寄り添って、私が習字をする一挙手一投足を凝視。下手な字を書かないよう、監視していた。


    そんなプレッシャーの中の書き初めであり、集中できる筈がない。まだ小学4、5年生、早く終わらないかとそればかり考え、どこか上の空。案の定、書きあげても親から駄目出しをくらい、書き直し。半分ふてくさりながら筆を走らせていた。
    それだから上手く書けるはずもない。親からは、「上手く書こうとせず、思い通りに書け」と気合いを入れられるが、自分のイメージとはかけ離れた字となる一方。

    何度書いても自分でも満足とは言えない出来ではあったが、これ以上続けてもいい作品は出ないと諦め、10枚以上は書いたであろう候補の中から1枚を事務局に出した。

   よくテレビで名人などが、何かを作るときに、最初は良いものを作るが、満足せずに何度も作り直すが、上手くいかず、結局最初に作った物が一番良いということがある。負のスパイラルなのだが、私の書き初めも最初の方に書いた作品の方が比較的出来が良く、結果それを提出した。


    1週間後に入選作品が発表されたが、案の定、私の作品は箸にも棒にもかからず、選から漏れた。父は労うこともなく、何も言わなかった。
    子供ながらに悔しい半面、どこか心の中に「最初から駄目だ」と諦めかけていた部分があった。始める前から己との戦いに負けていた。
   結果は正直である。この経験から学んだことは、最近から諦めていては絶対に上手くいかないこと。脳が負のオーラに引っ張られ、行動が萎縮する。逆に「俺はできる」と嘘でもいいから暗示にかける方が、成功の確率は上がる。根拠のない自信が時に良い結果を生むことだってある。最初から自分に負の暗示をかけるのは勿体ないことであり、脳に魔術をかけて成功を錯覚させる。駄目だと思うときこそ魔術をかけるのだということを、古い記憶からの教訓として胸に留めよう。

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空海は三筆の一人