今日の漢字342
今日の漢字は「汁」。果汁、肉汁、汁物、味噌汁、墨汁、灰汁。
地元でしか味わえないこの不思議な汁物がケンミンショーで取り上げられており、いつかは食べてみたいと心を奪われていた。
時は3年前。たまたま用事で八戸を訪れることとなり、以外と早くチャンスは訪れた。
青森市で別の用事を足し、青森駅から青い森鉄道という私鉄に揺られること1時間半。
ちなみにこの青い森鉄道。東北新幹線の新八戸駅から新青森駅開業に合わせ、JR東北本線から切り離された第三セクター。なお、八戸の先の目時という駅から盛岡までも、IGRいわて銀河鉄道という私鉄で、こちらも三セク。仙台近辺は新幹線が有ろうがなかろうが、東北本線は磐石だが、過疎の盛岡以北はJR東日本の効率化策でJR路線が経営から切り離された。JRから甘く見られていて可哀想な青森県。
さて、新幹線も停まる新八戸駅界隈で用事を済ませ、八戸中心部まで足を伸ばす。
事前にネットでランチタイムにせんべい汁を出す店をリサーチしていたので、ちょっとこ洒落た店に入る。これを目当てに八戸に来たので、早速せんべい汁注文することにした。
ただウエイトレスのお姉さん、「せんべい汁だけならお腹が膨れないので、ライスかおにぎりもオススメしています」とのアドバイス。おーなるほど、せんべい汁だけでは足りないのか。というより、おそらく過去にせんべい汁だけを頼んだお客は、あまりの物足りなさに苦情を申し立てたのではないかと推測。
それであれば定食にすればいいのにと思いつつ、ライスも追加で頼んで待つこと20分。
少し大きめの器に入ったせんべい汁が運ばれてきた。お椀のセンターに鎮座ましますのは、紛れもない白く大きな物体である煎餅。その存在感は圧倒的。これぞせんべい汁。せんべいは後に食べるとして、まずは汁をすすり、具を食す。
汁は醤油ベースで、人参、ゴボウ、大根、ネギなどの具が入っていて雑煮のような味。というか、これに餅が入っていれば雑煮ではないか。ウムム、何だか騙されたような気分であるが、気を取り直して、いよいよメインのせんべいに。
「?」あれ?味がしない。まさに汁に浸かって味の染み込んだせんべいなのだが、食感に歯ごたえがない。硬い南部煎餅が入っているわけでもなく、主役登場の割には、ぬめっとしていてパンチがない。餅を少し硬くしたようで何とも中途半端。私の娘が赤ちゃんの時に、白くて柔らかいカルシウムせんべいをポタージュスープにつけて食べさせたことを思い出した。
あわわ。予想外にインパクトがなく、しばし声を失う。(と言っても誰かと会話していたわけではないが)これが夢に見たせんべい汁との出会いの印象か。写真で見たら凄く美人なのに、会ってみると性格の悪そう女性とのなお見合いに来たような違和感を感じた。
結局のところ、餅の代わりにせんべいが入っているだけの代物。雑煮と根本は変わらなかった。
んー。名物に旨いものなしということわざがあるが、評判の割には大したことはなかった。ことわざ通り、食べてみないとわからないということだ。旨そうに食べていたケンミンショーに騙された。
青森の方には申し訳ないが、おそらくもう食べることはないだろうと、自嘲ぎみに笑いつつ、店を後にしたのであった。