今日の漢字322
今日の漢字は「四」。四季、四国、四球、弦楽四重奏、四谷、四条大宮、伊東四朗、遠山金四郎。
四がつく四字熟語は数多い。
四面楚歌、四角四面、四苦八苦、三寒四温、四方八方、四六時中、四書五経、朝三暮四。
この中で哀愁を感じるものの、こうはありたくないと感じるのは、四面楚歌。
「周りを敵や反対者に囲まれており、味方がいなくて孤立している状態」のこと。
楚の項羽は漢の劉邦に追い詰められたときに、夜になって漢の軍の中から聞こえてきた楚の国の歌を聞いて、漢に降った楚の人が多いことを嘆き、敗北を悟ったという故事。
会社にも四面楚歌の人はいる。私の元上司もそうだった。能力は高いし、弁もたつ。自分の上役に対しても意見を堂々と述べ、物怖じしない。出世するタイプであったが、反面、とにかくゴリ押しが強過ぎたのと、社内の同僚たちと徹底的に闘うという姿勢がいけなかった。根回しという言葉は彼の頭にはなく、いつも正攻法で論破してやろうという姿勢。上役に対しても「お言葉ですが・・」を連発し、自分の正統性を誇示していた。
当然のことながら次第に疎んじられ、他の部署からは、「あいつには協力するな」となり、孤立無援。部下の私はその尻拭いで奔走する羽目となった。結局我々のフォローも実ることなく、四面楚歌に陥った彼は、最後に役員に我が身の窮状を訴えるも、敢えなく却下され、結局自ら会社を去ることになった。
頭が良すぎるのと、俺が俺がという態度が周りの賛同や協力を得られなかったのが大きな要因。人間時には謙虚になることが、上役からも可愛がられる秘訣なのだと、勉強をさせられた。しかし当の彼は見事這い上がり、起業して今は小さな会社の社長になっている。やはり社長業が一番似合っているのだろう。
動物は群れの中で孤立すると、生きていくのが大変。獲物や食べ物が自分まで回ってこないと餓死してしまう。人間社会も同じで、特に日本の会社で孤立すると、メンタルや自殺に追いやられるのは、昨今のいじめの多発の結果が物語っている。心の安寧を得るためには、四面楚歌ではなく、呉越同舟の仲間意識ということが重要な役割を持つと思う。