笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字320

今日の漢字は「航」。航海、航空、航路、就航、休航、密航、難航。

   30年前、学生の卒業旅行で乗った飛行機は、成田発英国航空ロンドン行き。当時はまだソビエト連邦が健在で、今みたいにロシア上空を飛べる時代ではなかった。

   それゆえ、値段は高いがアラスカを経由する北回り航路か、値段は安いがタイ、インド、中東を経由する南回り航路のどちらかをチョイス。南回りは給油で何度も主要都市に止まるため、えらく時間がかかった。それゆえほとんどの旅行者は当時、北回り航路を選んだ。それでもフライト時間は14、5時間はかかった。

    アラスカのアンカレッジまでは丁度半分の行程。ここで乗客は給油のため飛行機から降ろされ、待合室で待機する。窓の外はアメリカ大陸北部の荒涼とした大地が広がり、寒々しい周りの景色も相まって、残りも狭い座席に閉じ込められるのかと思うとうんざりしてくる。

  しかし印象的だったのは、待合室の一角に立ち食いのうどん屋が店を出していたこと。多くの日本人がそこでうどんをすすっていた。その待合室はだだっ広く、ヨーロッパに行く便や、日本に行く便がシンクロしていたため、おそらく日本に帰る乗客が、懐かしさのあまりうどんに舌鼓を打っていたのであろう。しかし値段を見ると、日本円で千円くらいし、食べる気が失せた。

   当時は日本からの欧州行きの便の大半がここを使用していたため、活況を呈していたが、直行便全盛の今の時代、アンカレッジは寂れた地方空港に成り下がっているのであろう。

  そんなワクワク感皆無のアンカレッジを飛び立ち、ロンドンへ。機内は、卒業旅行でヨーロッパに行く学生が多く、賑やかさが充満していた。ロンドンに着いたのは朝6時くらいで、ヒースロー空港上空から見た家は、レンガ色の建物が整然と並ぶ洗練された街並みに見えた。着陸の時は、初めて異国の土地に降りたった高揚感と、長旅の疲れがどっと出たのか、どのようにして空港から中心部まで移動したかは記憶にない。 機内食の内容も全く思い出せないが、初めて機内で飲んだ、無料で提供されるビールに味をしめて、何杯も飲んですっかり酔っぱらったのは覚えている。

   

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航とは、目的地に向けて船で移動すること