今日の漢字293
今日の漢字は「佳」。佳作、佳境、佳山明生、佳子さま、村上佳菜子。
酒は人を狂わせるというが、私は次の言葉が好きである。「酒は嗜む勿れ、狂薬にして佳味に非ず」中国宋の時代の范質が兄の子を戒めた言葉。酒は決して美味しいものではなく、人を狂わせる薬なのだ。酒に溺れる人間の性を的確に付いている。
酒に酔って痴漢、喧嘩、暴行など、酒を飲まなければ普通の人なのに、酒で記憶を無くし、想定外の行動に及ぶ例は枚挙に暇がない。某テレビ局のアナウンサーも、酔って電車内で痴漢をして逮捕された。その時、当事者が必ずする言い訳は、「酔っていて覚えていない」。
私も今では酒を辞めたが、以前飲んでいた時は、脳が麻痺するとともに、気が大きくなる状況がよく分かった。冷静さを失うのだが、その分、気持ちよく明るく快活になり、人間関係が円滑になるという効用もある。しかし飲み屋街で大声で痴話ばなしをしたり、千鳥足で歩くオヤジ達はだらしなく、風紀を乱しているように見える。
外国人はお酒を飲んでも、公共の場所ではシャキッとせよと教育されるらしい。だから道端で寝る人間は、無防備すぎて信じられないというようなことをインタビューで答えていた。日本は、得てして酒飲みに対して寛容な国のように思える。
酒は嗜む程度なら良いという意見を否定はしないが、慣れてくると次第に酒量が増えていくというリスクもある。知り合いは、365日毎日飲み、風邪をひいても飲むと豪語していた。アル中にならないか心配だが、人に迷惑をかけるわけでもなく、酒が毎日を生きる楽しみとするならば、健康に良くないからと取り上げてしまうのも酷だと思う。人類が発明した、「人生充実物」のお酒を狂薬にするか、佳味にするかは、一生の友とどう付き合っていくかによる。
