今日の漢字531は「飽」。恋が飽きることに注意せよ
今日の漢字は「飽」。飽和、飽食、飽くなき欲求。
「プロポーズ、あの日に戻って断りたい」という川柳があったが、夫婦が長年睦まじく過ごすというのは、生物学的にも難しいようだ。
そんなことを、男女の脳のすれ違いを面白おかしくエッセイで紹介するエッセイストの黒川伊保子氏の著書から考えた。
同氏曰く、爬虫類以上に進化した動物は、自分以外の個体が必要以上に近づくと、恐怖心に駆られて、強く相手を警戒する本能がある。動物が身を守る基本的な脳の作用。
遺伝子をばらまく立場のオスはメスに対して警戒バリアを強く張る必要が無い。むしろ縄張りを争うオスに警戒心を発揮する。
しかし生殖リスクの高いメスは生殖相性の悪い妊娠を防ぐため、オスに対して著しく強い警戒バリアが働く。
しかしそのままでは生殖行為に至らないので、発情した瞬間から1回の生殖に必要な一定期間だけ、その相手にだけ警戒バリアを解くのである。
ヒトのメスの生殖サイクルは妊娠、授乳期間があるから3年。従って女性は恋に落ちて3年間だけ、相手の男性に「あばたもえくぼ」状態になり、3年以内に生殖に至らないと、急に相手のあら探しを始めるようになる。要するに再度バリアが構築されることになる。
女性は警戒バリアを解除する異性数が少ないので、一定期間は相手の一人しか見えない。しかしそのスイッチが一気に切れることがあり、付き合った男をあっさり嫌いになって別れるということが有り得る。恋の終わりによく女性が、「彼は変わった」というが、それは男ではなく、たいていは女性の脳が飽きて変わったのだ。
男は恋の相手を一人に絞る機能が脳の感性の領域にはないため、基本「来るものは拒まず」の受動的立場だが、警戒解除期間が切れていきなり相手を強く嫌うということはない。基本的にはいつまでも女性に対し情を残すということをしてくれる。
恋を成就させたかったら、女性の警戒解除期間中、3年以内に、愛情とは別に、友情や敬愛の情を育み、できれば結婚してしまうのがいいという。
結婚してしまえばあら探しを始めても簡単に別れられない。「3年目の浮気」というデュエット曲があるが、それは男の浮気ではなく、女の浮気のことを指しているのかもしれない。
これを見るにつけ、駄目男に貢ぐ女について考える。本当は相性が悪い妊娠を防ぐため警戒バリアを築いているのだろうが、何らかのきっかけで発情し、警戒バリアを解く。そして二人は付き合うが、男は煮えきらず、結婚を先延ばし。女はそのうち幻滅して別れに至るかそのままズルズルと生活を共にするパターンとなる。
結婚してもいいかなと思うのは3年以内。これを過ぎると一気に破局の可能性が高まるということを脳科学は証明している。付き合う時はそのことをと認識しておいた方がいいかもしれない。
どうして別れたのかと原因を探す必要はない。要するに3年経てば女は自然と男に飽きるという脳科学的行動に対し、男がそうならないようにどう尽くすか。それに尽きる。
なお母親は息子に対して警戒バリアが張られることはない。
妻の愛に母の愛が勝るのは当たり前だというのが黒川氏の分析である。